安全保障関連法 憲法判断せず原告の訴え退ける 広島高裁

8年前に成立した安全保障関連法は憲法9条に違反するとして、山口県の住民が国に対し賠償を求めた裁判で、2審の広島高等裁判所は1審に続いて憲法判断をせずに訴えを退けました。

2015年に成立し、集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法について、山口県の住民など130人あまりは、「戦争の放棄を定めた憲法9条に違反し、平和的に生きる権利が侵害された」などと主張して、国に対して賠償を求める訴えを起こしていました。
1審の山口地方裁判所はおととし、憲法違反かどうかを判断せずに訴えを退け、住民側が控訴していました。
14日の2審の判決で広島高等裁判所の横溝邦彦裁判長は、「憲法9条は国家の統治機構などの規範を定めたもので、国民の権利を直接保障したものとはいえず、住民らが主張する平和的生存権が国への賠償請求で保護されるべき法的利益だとは認められない」と指摘しました。
その上で、「保護されるべき具体的な権利や利益が認められない以上、法律が違憲かどうかの審査をする必要性も認められない」として、1審に続き安全保障関連法が憲法に違反するかについて判断を示さずに訴えを退けました。