松本サリン事件から30年 患者対応の医師「経験伝えたい」 

長野県松本市で猛毒のサリンがまかれ、8人が死亡した「松本サリン事件」から6月で30年になるのを前に当時、患者の対応にあたった医師が美濃加茂市で講演し、「事件を知らない若い医師が増える中、自身の経験を伝えていきたい」と話しました。

1994年6月27日に起きた松本サリン事件では、裁判官の官舎を狙って猛毒のサリンがまかれ、8人が死亡し、140人以上が被害を受けました。
当時、信州大学の医師として患者の対応にあたり去年から美濃加茂市の「中部国際医療センター」で集中治療部長を務めている奥寺敬医師が14日、事件から30年になるのを前にメディア向けに講演しました。
この中で奥寺医師は事件により教え子が亡くなったことや自身も一時、PTSDになったことなどを明かしました。
また、事件を知らない若い医師が増える中、自身の経験を伝えるとともに化学物質は新しいものが生み出されるのでどのように対応するかを考えておく必要があると話していました。
奥寺医師は「事件は自分の進路を決める出来事だった。30年がたち自分も話しやすくなったので世の中に伝えるべき経験を話していきたい」と話していました。