リニア2027年の開業断念の方針 2034年以降か

静岡県が着工を認めていない「リニア中央新幹線」について、JR東海は、国の専門家の会議で、目指してきた2027年の開業を断念する方針を明らかにしました。
会社では静岡での工事には10年程度かかるとしていて、仮に今すぐ着工できたとしても開業は2034年以降になる計算です。

リニア中央新幹線をめぐっては静岡県が環境に対する影響が懸念されるなどとして着工を認めていません。
このため、JR東海は、東京・品川と名古屋を結ぶ区間について、目指してきた2027年の開業は難しいという見解をこれまでに示していて、去年12月には、「2027年」としてきた開業時期を「2027年以降」に修正していました。
こうした中、JR東海の丹羽俊介社長はきょう国土交通省で開かれた専門家の会議の中で、「2027年の名古屋までの開業は実現できる状況にはない」と述べ、2027年の開業を断念する方針を明らかにしました。
静岡での工事に着手できないまま、工事契約の締結から6年4か月が経過しているためだとしています。
会社では工期の短縮は難しく、静岡での工事には10年程度かかるとしていて、仮に今すぐ着工できたとしても開業は2034年以降になる計算です。
会議のあと、取材に応じた丹羽社長は「1日でも早く着工できるよう全力を尽くしたい。地域の方々の理解を得られるように双方向のコミュニケーションを大切に真摯に取り組んでいく」と述べました。

【岐阜県の古田知事「誠に残念」】
リニア中央新幹線が通る予定の岐阜県の古田知事は「本日、JR東海から静岡工区の事業計画について連絡があり、本年直ちに工事着手したとしても開業まで10年はかかるとのことでありました。その結果、当初の計画の2027年から大幅に遅れることとなり、誠に残念であります。国とJR東海におかれては引き続き課題を一つ一つ丁寧に解決して品川・名古屋間のできるだけ早い時期での開業を目指していただきたい」などとするコメントを出しました。

【中津川市の小栗市長「少しでも早い時期の開業を」】
リニア中央新幹線が通り、岐阜県内で唯一となる駅が設置される予定の中津川市の小栗仁志市長は「JR東海には誠意と責任を持って沿線自治体および住民に丁寧に説明していただき懸念や課題を一つ一つ解決することで少しでも早い時期での開業を目指していただきたい」とのコメントを出しました。