「KAGRA」能登半島地震で観測運転できない状態に 飛騨市

岐阜県飛騨市にあるブラックホールの合体などで生じる時空のゆがみ「重力波」を観測する施設の「KAGRA」が能登半島地震の影響で観測運転ができない状態になっていることがわかりました。

「KAGRA」は東京大学が中心となり、2019年に飛騨市の鉱山の地下に建設した大型の観測施設で、巨大な質量を持つブラックホールや中性子星といった天体が合体する際などに生じるわずかな時空のゆがみ「重力波」を捉え、さまざまな元素が宇宙にもたらされた起源の解明などを目指しています。
施設がある飛騨市では能登半島地震で1月1日に震度5弱の揺れを観測しましたが、施設によりますと施設内のトンネルの崩落などの深刻な被害は確認されなかった一方、揺れの影響で重力波を検出する機器のうち、レーザー光を制御する鏡が正しい位置からずれてしまい、KAGURAによる観測運転ができない状態になっているということです。
ことし3月には感度をこれまでの10倍に高め、海外の施設との共同観測で重力波の検出を目指す計画でしたが、鏡のずれの修正には数か月程度かかる予定で、共同観測の開始には間に合わない見通しだということです。
施設長の大橋正健教授は「詳細な影響はまだ調査中だが、できるだけ早く復旧して共同観測に加わりたい」と話しています。