PFAS 市民の血液検査結果 国の調査の平均値の約5倍

岐阜県各務原市の水道水から高い濃度の有機フッ素化合物=PFASが検出されたことを受けて、県内の医療団体が問題の水源地のエリアに住む市民の血液検査を行った結果、国の調査の平均値のおよそ5倍の血中濃度が検出されたことがわかりました。

各務原市では市民の半数に水道水を供給する三井水源地から有機フッ素化合物の一部で、有害性が指摘されているPFOSとPFASが高い濃度で検出されました。
これを受けて、岐阜民医連などは希望する市民などを対象にことし10月から血液検査を行い4日、その結果を公表しました。
それによりますと、三井水源地から水道水を供給する地域の100人は、血液中のPFOSとPFOAの濃度の平均値が1ミリリットル中、32.2ナノグラムでした。
これは今回、同時に行われた市内のほかの水源地や岐阜市の住民の検査結果の2.4倍から2.7倍の濃度でした。
また、国がおととし全国の3地点で行った調査の平均値の5.3倍で、PFASの問題を受けて実施された東京・国分寺市や沖縄・宜野湾市での住民の血液検査の結果の1.4倍から2.5倍でした。
分析を担当した京都大学大学院の原田浩二准教授は直ちに健康に影響する可能性はほぼないとしていますが、「数値が高くなったのは、水道水の濃度が高かった影響だと思う。健診をうけるなど日常から注意してほしい」と述べました。
岐阜民医連は来年1月からPFASに関する相談外来を設置する予定で、国や県、市などに対し血液検査の対象を広げるよう要望することにしています。
《数値の高かった住民は・・》
各務原市の細江由美子さん(68)は、三井水源地から水道水が供給される地域に30年以上住んでいて、今回の検査に参加しました。
その結果、血液中のPFOSとPFOAの濃度は1ミリリットルあたり、51.2ナノグラムで国が行った調査の平均値のおよそ8倍でした。
細江さんは「びっくりしました。本当に落ち込みます。PFASを体に持ったままの生活に不安があります」と話していました。
これまでに健康への影響を感じたことはないということですが、ふだんから飲み水や料理に水道水を使っていて、今回の問題が明らかになったあと自宅に浄水器を取り付けました。
細江さんは「どこから水道水にPFASが入ったのかも知りたいですし、ほかにも血液検査を希望する人が出てくると思うので受けさせてあげてほしい」と話していました。