揖斐川町の旧坂内村で村民の徴兵や戦死の関する文書見つかる

岐阜県揖斐川町の旧坂内村で、日露戦争から太平洋戦争中にかけての村民の徴兵や戦死に関する文書が見つかりました。
こうした文書は、終戦後に国の命令で多くが焼却されていて、専門家は「地域が戦争にどう関わりどう影響を受けたのかを、リアルに伝える貴重な資料だ」と話しています。

この資料は、ことし9月に岐阜聖徳学園大学の秋山晶則教授と学生、それに揖斐川町の職員が、旧坂内村の村役場だった場所で保管されていた行政文書を整理していた際に見つけました。
見つかったのは、日露戦争から太平洋戦争中にかけて、村民を徴兵した際の身体検査の記録や徴兵免除者のリスト、戦死した時の状況をまとめた文書などです。
このうち戦死の報告書では、戦死者が増えるに従って内容がおおまかなものになっていく様子がうかがえます。
昭和13年の報告書では「中華民国江蘇省において右側腹部左腰部破片創を受け入院加療中、死亡」などと詳しく書かれていますが、昭和23年のものでは「時刻不明印度国」などの記載にとどまっています。
こうした徴兵や戦死に関する文書は、終戦後に国からの命令で多くが焼却されていて、一連としてほぼ残っているのは珍しいということです。
秋山教授は「人によってはどこで戦死したかもわからず亡くなっていったことが読み取れる。地域が戦争にどう関わったのか、戦争が地域にどう影響を及ぼしたのかを、リアルに伝えるとても貴重な資料だ」と話しています。
また、揖斐川町役場の今枝文雄総務参与は「非常に驚くとともに、戦争の影響が旧坂内村のような山間部にも及んでいたと思い知らされました。活用の方法を検討し、公開できるようであれば村の歴史を多くの人に知ってほしい」と話していました。