関市の山林 “シシ垣” 作業道の工事で壊される

関市の山林でイノシシなどの野生動物が田畑に入らないよう築かれた「シシ垣」と呼ばれる石垣が作業道の工事で約250メートルにわたって壊されていたことがわかりました。

「シシ垣」はイノシシなどの野生生物が田畑を荒らすのを防ぐため、山の中に石を積み上げて築いたもので関市武芸川町の寺尾地区には地区の周囲を取り囲むように1キロ以上にわたって「シシ垣」が残り地元では複数のグループが保存活動を行っています。
関市によりますと去年12月、美濃市の中濃森林組合が寺尾地区の周辺で伐採した木材を運び出すための作業道を整備していたところ約250メートルにわたって寺尾地区の「シシ垣」を壊したということです。
関市によりますと開発を行う際には事前に届け出る必要がありますが今回の工事についてはこうした手続きが取られていなかったということです。
工事を行った中濃森林組合の林郁夫代表理事専務は開発の際の手続きの方法や文化的価値への意識が不足していたとして「職員1人ではなく、組合全体の責任として深く受け止めております」と謝罪しています。
「シシ垣」の保存活動に取り組むグループ「武芸川郷土史研究会」の古田正雄さんは「壊されたシシ垣をみてびっくりしました。いつまでも残していきたいと思っていたので非常に困っています。残った部分だけでもなんとか残したい」と話しています。
これに対して関市は4月以降、森林組合や保存活動を行うグループを交えて「シシ垣」の修復や今後の保存方法の検討を行うとしています。