農家から桃だまし取る 詐欺の罪に問われる男に懲役3年を求刑

皇室への献上品を選定する権限があるように装い、福島市と茨城県の農家から桃などをだまし取ったとして、詐欺などの罪に問われている都内の76歳の男の裁判で、検察は「巧妙な犯行で悪質だ」などとして、懲役3年を求刑しました。

東京・練馬区の農業園芸コンサルタント加藤正夫被告(76)は、おととし6月下旬ごろ、皇室への献上品を選定する権限があるように装い、宮内庁が作成したように見せかける文書を福島市の農家に示した上で桃の提供を要求し、時価1万6500円相当の桃をだまし取ったほか、茨城県の農家からもトマトなどをだまし取ったとして詐欺や偽造有印公文書行使などの罪に問われています。

2日、福島地方裁判所で行われた論告で、検察は「宮内庁職員の証言や捜査した警察官の証言から被告に皇室献上品の選定や推薦権限がないと認定でき、宮内庁職員から献上品の推薦を依頼されたとか、受け取った桃などを宮内庁などに配送したという被告の供述は信用できない」などと指摘しました。

その上で、「被害者に対して長期間にわたり献上品を推薦する権限があると説明して信じ込ませ、虚偽の木札を交付するなど巧妙な犯行で悪質だ」などとして、懲役3年を求刑しました。

裁判は2日で結審し、判決は9月5日に言い渡されます。