避難指示が去年3月解除された浪江町の地区でお花見ツアー

原発事故による避難指示が去年3月に解除された福島県浪江町の地区で、かつて住民たちに親しまれた桜を多くの人に知ってもらうお花見ツアーが開かれました。

浪江町の津島地区は、東京電力福島第一原子力発電所の事故で避難指示が出され、去年3月末に一部で解除されましたが、地区に住む人は10人余りにとどまっています。

桜の花見ツアーは、ふるさとの美しい春と自然の魅力を多くの人に知ってもらおうと、津島地区出身の住民らが企画し、町の内外から20人余りが参加しました。

参加者たちは、住宅や商店の解体が進む地区の現状について説明を受けながら、かつて住民たちに親しまれた3か所の花見スポットを歩いて巡りました。

このうち事故の影響で閉校した旧津島小学校は、校庭を囲うソメイヨシノが3分咲きで、卒業生の30代の男性が「桜並木をくぐりながら通学したことや、マラソン大会で桜を見ながら走ったことが思い出です」となどと紹介していました。

参加した南相馬市の80代女性は「山と桜の組み合わせが美しく、地元の人のふるさとを大事にする思いが伝わってきました」と話していました。

案内した区長の今野秀則さんは「事故の前と同じように桜が咲き始めていてうれしく思いました。地域の再生はまだまだですが、美しい風景を見に訪れた人たちの間で交流が生まれてほしい」と話していました。