伝統の「いわき絵のぼり」の制作が最盛期を迎える

子どもの健やかな成長を願って掲げられる伝統の「いわき絵のぼり」の制作が、端午の節句を前にいわき市で最盛期を迎えています。

「いわき絵のぼり」は、勇ましい武者などの絵柄が手描きで描かれ、端午の節句に家々に飾られてきた、いわき地方に江戸時代から続く伝統工芸品で、市の無形文化財にも指定されています。

100年以上、絵のぼり作りを続けている高橋謙一郎さんの工房では、制作が最盛期を迎えています。

この日は、縦4メートル50センチ、横70センチほどの木綿の布に、平安時代後期の名将、八幡太郎義家が、勿来の関を通った際に美しく咲く桜を眺める場面の仕上げが行われていて、黒い絵の具でかぶとなどのふちを筆で丁寧に塗っていました。

絵のぼり作りは、色鮮やかな絵柄が特徴で、疫病から人々を守るとされる中国の神様、鍾馗さまや、滝を登るこいにまたがる金太郎などが描かれています。

少子化に加え東日本大震災や、新型コロナの影響で注文は減っているものの、最近は、室内で飾ることができる2メートルほどのものが売れているということです。

高橋さんは「男の子の赤ちゃんが立派に一旗あげられるよう願いを込めて丁寧に作っています」と話していました。

「絵のぼり」づくりは、来年に向けて先に制作する分もあるため、来月いっぱい続くということです。