福島 矢祭町議会 議員報酬を日当制から月額制へ 16年ぶり

全国で唯一、議員の報酬を勤務した日数に応じて支払う「日当制」を導入している福島県の矢祭町議会は、町の財政の安定化を理由に、16年ぶりに「月額制」に戻すことになりました。
関係する条例案が可決されれば早ければ来月にも導入される見通しです。

町議会の特別委員会は4日開会した3月定例議会に日当制の廃止を検討した報告書を提出し、全会一致で可決されました。

矢祭町は財政の健全化を進めるため、議員の報酬を勤務した日数に応じて支払う日当制を平成20年3月に全国で初めて導入し、一日あたり3万円を支給してきました。

全国の市町村の議会議長会によりますと全国で日当制を導入しているのは、現在も矢祭町だけだということです。

町議会の特別委員会は、人件費の削減などによって町の財政が安定してきたことなどから、去年9月から報酬のあり方の見直しを進め先月16日、月額20万8000円に戻す案を賛成多数で可決していました。

町議会事務局によりますと、日当制の導入からこれまでの16年間でおよそ3億2000万円の削減につながったとしています。

一方、特別委員会は報告書の中で日当制の導入によって報酬が減ったため十分な議員活動ができなくなったり議員のなり手不足につながっているなどの意見があったとしています。

月額制は、今月下旬の臨時議会に提出される条例案が可決されれば、早ければ来月にも再び導入される見通しです。

矢祭町議会が行財政改革の一環として全国で初めて議員報酬を「日当制」に改めたのは16年前の平成20年3月でした。

当時は、全国でも例がない取り組みで注目を集めました。

日当制の導入後、議員の年間の報酬は平均でおよそ130万円と、それまでの月額制のおよそ3分の1に抑えられ、町は、年間2000万円以上の支出を削減しました。

一方、議員の報酬の水準の低さは、「なり手不足」にもつながっています。

全国町村議会議長会は全国の町村議会の議員の平均の月額報酬は、おととし7月1日時点で21万7000円で、生計を維持できないほどの低水準だとし、なり手不足の要因の1つとだと訴えています。

福島県内の町村議会議員の数は去年7月1日時点の合計が530人で、10年前と比較すると43人減っていて、平均年齢は66.2歳で、10年前より3.6歳高く、議員の減少と高齢化が進み、選挙では無投票や定員割れが起きるなどなり手不足が深刻化しています。