AR=拡張現実の技術使い避難誘導 全国初いわき市で訓練実施

災害時に、AR=拡張現実など最新のデジタル技術を用いて迅速で効率的な対応につなげようという、津波を想定した避難訓練が3日、福島県いわき市で行われました。
ARで避難誘導を行おうという取り組みは、全国で初めてだということです。

訓練は、東北大学と九州大学が共同で開発したアプリを使って行われ、いわき市の大型ショッピングモール周辺を会場に地元の住民や学生などおよそ110人が参加しました。

アプリはARの技術を活用していて、アプリのカメラ機能で建物の倒壊や火災の現場などを撮影して報告すると、市の災害対策本部やアプリの利用者に情報が共有されます。

また、アプリを起動したまま移動すると、共有された災害情報や利用者の位置情報などをもとに、画面に写る実際の町並みの映像に安全な避難ルートが矢印で表示される仕組みになっています。

参加者たちは、スマートフォンを片手に画面を見て引き返したり、迂回したりしながら避難先に向かっていました。

3日の訓練では、共有した情報をもとにルートの案内があったグループの方が、案内のないグループより移動した距離が短くなり、効率的な避難につながった一方、高齢者の中にはスマートフォンの操作に慣れていない人もいて、今後の課題として指摘する声も上がっていました。

参加した60代の男性は「スマホは苦手だが、矢印が案内してくれて便利だったので使い方を学んで活用できるようにしたい」と話していました。

ARの技術を活用して避難誘導を行う取り組みは、今回が全国で初めてで、東北大学の大石裕介特任教授は「課題もあるが、最新の技術でわかりやすく誘導するので避難に有効だと思う」と話していました。