食用こいの生産量全国一の郡山市 小学校給食にこいのメニュー

食用のこいの生産量全国一の福島県郡山市で、地元の食文化に親しんでもらおうと、小学校の給食にこいを使ったメニューが提供されました。

郡山市では、明治時代に食用のこいの養殖が始まったとされ、生産量は、令和4年度660トンと市町村別で全国一です。

一方、食生活の変化などで消費が減っていて、市は、消費拡大や地域の食文化への理解を深めてもらおうと市立の小中学校で給食メニューに取り入れる取り組みを行っています。

こいは、脂がのる秋から冬が旬とされていて、郡山市立行健小学校では、24日、こいを使った揚げかまぼこが給食として提供されました。

魚を形どった大きさ10センチほどのこいの揚げかまぼこは、甘辛い照り焼きソースで味付けされていて、子どもたちは笑顔でほおばっていました。

小学6年の女子児童は「食べやすくておいしかったです。こいの味がしっかり味わえておいしかったです」と話していました。

また男子児童は「去年のメニューもおいしかったですが、ことしのかまぼこもおいしかったのでたくさんたべたいです」と話していました。

郡山市のこいの揚げかまぼこの給食は、先週から来週にかけて市内の24の小中学校であわせて8600食余りが提供されるということです。

【郡山市の食用こいの養殖】

郡山市の食用のこいの養殖は、郡山市に猪苗代湖の水をひく国直轄の「安積疏水」が明治時代に完成したころから盛んになったとされています。

市や養殖業者によりますと、昭和40年代には12の養殖業者があったということですが、その後、鉄道や道路の整備が進んだことや東日本大震災などの影響で出荷量が減り、養殖業者も3軒に減りました。

一方、郡山市産のこいは臭みも少なく食べやすいと評判で、関東や東北の卸売り業者やスーパーなどに出荷されていて、昨年度の生産量は660トンと市町村別で全国で最も多くなっています。

市は、産業の活性化や食文化の継承につなげようと、学校給食でこいを使った料理を提供しているほか、9年前には市役所に「鯉係」を設置して、こいのPRに取り組んでいます。

鯉の養殖から加工までを手がける熊田水産の熊田純幸(81)社長は「秋から冬がこいの1番おいしい季節です。郡山はこいの名産地ですが、あまり知られていないのでみなさんに食べてほしい」と話していました。