“福島で放流のトラフグ冬は温暖な海域に移動か”福島大学分析

近年、水揚げ量が急増している福島県沖のトラフグの行動を調べるため、福島大学などが去年、追跡装置を付けて放流した個体が千葉県沖で新たに見つかり、研究者は「冬の間は温暖な海域に移動している可能性が高い」と分析しています。

福島大学の和田敏裕准教授らの研究グループは、福島県でとれるトラフグが急増している要因を調べるため、おととしからトラフグに追跡装置を付けて行動を調査しています。

和田准教授によりますと、去年11月に相馬市で放流した23匹のうち2匹が見つかり、うち1匹は今月10日に350キロほど南西の千葉県沖で見つかった体長43センチあまりのメスで、体重はやや減っていましたが、健康な状態でした。

もう1匹はオスで、新地町の沖合で見つかりました。

追跡装置の記録の分析では、水温が下がり始める先月下旬以降、千葉県沖でみつかった個体は、水温15度前後の場所を移動していた一方、新地町の個体は13度前後の環境で、活動量も11月に比べ減る傾向が見られたということです。

おととし放流した個体も去年4月に千葉県沖で見つかっていて、グループは冬の間は温暖な海域に移動している可能性が高いとみています。

和田准教授は「福島県沖に残る個体も一部はいるが、生息に適する水温を考えれば、温暖な場所に移動しているとみるのが自然だ。データをさらに分析し、生態の解明を進めたい」と話しています。