葛尾村に牛の繁殖から肥育まで行う施設完成 畜産業復活目指す

原発の事故で、一時、全域に避難指示が出た葛尾村で、畜産業の復活を目指して村が整備した、牛の出産から育成までを一貫して行う施設が完成し、18日、農家へ引き渡されました。

「葛尾村肥育素牛生産施設」は、子牛の繁殖と、繁殖した子牛を肉用牛か母牛に育てる肥育を一貫して行うことができる施設で、村がおよそ6億円をかけて先月完成しました。

母牛を育てる繁殖牛舎や子牛を育てる育成牛舎など3つの牛舎があり、施設全体で320頭余りの飼育が可能です。

18日は、この施設で牛を生産する農家の丹伊田拓真さんへの引き渡しの式典が行われ、篠木弘村長が施設の鍵を手渡しました。

葛尾村は、かつて畜産が盛んでしたが、原発事故で、一時、全域に避難指示が出されて、およそ120軒あった畜産農家は17軒まで減り、村内で飼育されている牛の数も以前の2割以下にとどまっています。

施設は、畜産業の復活をめざす村が畜産農家への支援の一環で整備を行っていて、今回が3例目です。

丹伊田さんは主に繁殖を中心に行ない、来週からおよそ100頭の母牛を飼育するということで、「畜産業の復興の一端を担い、消費者が美味しいと思う肉作りを目指していきたい」と話していました。