除染土再利用 首都圏での実証ストップのまま 計画前進が課題

福島県内の除染で出た土の再生利用に向けて、環境省が、県外で最初となる首都圏での実証事業の計画を発表して1年になりますが、住民の反発などでストップしたままです。
原発事故から13年近くたち関心が薄れるなか、どのように計画地域の住民の理解を得て前進させるかが課題となっています。

東京電力福島第一原発の事故のあと、福島県内の除染でに出た土などは東京ドーム11杯分にのぼり、県内の中間貯蔵施設に保管されていますが、2045年までの県外最終処分が法律で定められていて、環境省は、放射性物質濃度が低いものを公共工事などに再生利用して量を減らす方針です。

環境省は、土の再生利用について、福島県内での実証事業の結果、安全性に問題ないとして、去年12月、環境省が管轄する埼玉県所沢市の「環境調査研修所」と、東京・新宿の「新宿御苑」、それに、茨城県つくば市の「国立環境研究所」で、県外で初めてとなる実証事業の計画を発表しました。

しかし、所沢市と新宿区での住民説明会で安全性や風評被害を懸念する声が上がり、環境省は、予定していた昨年度内の事業開始を見送り、その後、具体的な進展はなく、どのように地元の理解を得て計画を進めるかが課題となっています。

環境省は「安全性などの理解醸成のため引き続き対話の場を設けたい。再生利用の基準や手引きを来年度中にまとめる作業を進めている」としています。