富岡町 特定復興再生拠点区域すべての避難指示解除

東京電力福島第一原発の事故に伴い避難指示が出されている福島県富岡町の帰還困難区域のうち、先行して除染などが進められてきた県道や墓地などの避難指示が、30日午前9時に解除されました。
これで、県内の帰還困難区域で先行して除染などが行われてきた区域の全てで避難指示の解除が完了しました。

政府は、県内の6つの町と村で帰還困難区域の一部を「特定復興再生拠点区域」に認定した上で先行して除染などにあたり、作業を終えたところから避難指示を解除してきました。

このうち、富岡町の小良ヶ浜地区と深谷地区で、「特定復興再生拠点区域」として最後まで残っていた県道や町道、共同墓地などの避難指示が30日午前9時に解除されました。

道路に設置されていたバリケードが撤去されると、警察のパトカーや地元の消防団などの車が解除された道路を進みパトロールを開始しました。

今回の避難指示解除は宅地などは対象となっておらず、この地区の住民の帰還のためにはさらに除染などを行い、避難指示解除を進める必要があります。

山本育男町長は、「この地域の解除に向けて大きな一歩だ。住民の意向に沿って面的な除染を行い、解除できるよう頑張っていきたい」と話していました。

これで、県内の6つの町と村で設定された「特定復興再生拠点区域」の避難指示の解除はすべて完了し、政府は今後、残る309平方キロ余りの帰還困難区域について、住民の帰還の意向に基づき除染などを進めていく方針です。

東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、国は、原発周辺の7つの市町村の合わせておよそ337平方キロについて、放射線量が比較的高く長期間立ち入りを厳しく制限する「帰還困難区域」に指定しました。

このうち、事故前の居住人口が比較的多く町や地域の復興の拠点となる地区について、国は自治体が策定する復興再生計画に基づき、先行して避難指示の解除を進める「特定復興再生拠点区域」に認定し、帰還困難区域がある7つの市町村のうち南相馬市を除く6つの町と村に設けられました。

区域では、国が除染やインフラの整備を行い令和2年3月からことし5月にかけて、作業が終わった場所から順次、避難指示を解除してきました。

最後に残っていたのが富岡町の小良ヶ浜地区と深谷地区にある県道や町道、共同墓地などで30日、これらの避難指示が解除されたことで、県内6つの町と村に設けられた「特定復興再生拠点区域」の避難指示解除が完了したことになります。

一方、7つの市町村では、合わせて309平方キロ余りがいまなお避難指示を受け続け、帰還困難区域に指定されています。

国は、住民から帰還の意向と自治体の計画に基づき、「特定帰還居住区域」を設け、除染などを行った上で避難指示の解除を進めるとしています。

これまでに、大熊町の下野上1区行政区の一部のおよそ60ヘクタールと、双葉町の三字行政区と下長塚行政区の一部をあわせたおよそ50ヘクタールが「特定帰還居住区域」に認定され今年度中に除染が始まる見込みです。

2つの町は、引き続き、ほかの地区についても区域の認定に向けた計画の作成を進めていて、浪江町と富岡町も今年度中に計画を作成し、国に申請することにしています。