福島第一原発の廃液トラブル 原子力規制委で問題の指摘相次ぐ

東京電力福島第一原子力発電所で、先月、汚染水の処理設備を洗浄していた作業員に放射性物質を含む廃液がかかったトラブルについて、1日開かれた原子力規制委員会の会合では、委員から作業管理の問題などを指摘する声が相次ぎました。

福島第一原発では、先月25日、汚染水の処理設備で行われていた配管の洗浄作業中に、放射性物質を含む廃液をタンクに流すホースが外れて作業員に廃液がかかり、2人が除染のため、一時、入院しました。

これについて1日開かれた原子力規制委員会の会合では、委員から「廃液がかかるトラブルは当然、想定されるべきものだ。作業前に意味のある安全確認がされていたのか疑問だ」とか、「作業管理上の失敗は明らかだ。原因を究明するためにしっかり検査すべきだ」などと、東京電力の管理体制を問う声が相次ぎました。

また、東京電力が当初、飛散した廃液の量をおよそ100ミリリットルと公表していたのに対し、その後の調査で数十倍の数リットルにのぼるとみられることがわかったことについては「東京電力から数字が出る度にだんだん大きくなっている」と苦言が出されました。

原子力規制庁は、福島第一原発で実施している検査の中で、東京電力の管理体制などに問題がなかったか確認することにしています。

【原子力規制委員会の山中伸介委員長】

東京電力福島第一原発で汚染水の処理設備を洗浄していた作業員に放射性物質を含む廃液がかかったトラブルについて、原子力規制委員会の山中伸介委員長は「個人的な見解だが、東京電力の実施計画違反ではないかと思っている。報告を待たないといけないが、下請け会社の作業員の作業中に生じたことでも、東京電力自身が実施計画をきっちり守るという管理のありようが不十分だったと思っている」と述べ、廃炉作業のルールや安全対策を盛り込んだ実施計画に違反があったという認識を示しました。

その上で「規制当局としては事故原因の究明や、同じようなことが起こらないような検査の態勢を組んでいきたい。作業員の健康に関わる被ばく線量の評価は重要なポイントの1つだし、運転管理やプロジェクト管理に関することも見ていきたい」と述べました。