酒造りに適したコメの遺伝子 初特定 福島大学の研究グループ

福島大学の研究グループが、酒造りに適しているとされるコメに共通する遺伝子を初めて特定したと発表し、酒米の品種改良の効率化につながる知見だとしています。

福島大学の吉田英樹特任助教の研究グループはコシヒカリなどの食用米と、山田錦などの酒米を含む200余りのイネについておよそ4億に上る遺伝子の全配列を1つずつ調べました。

酒造りに適しているとされるコメは、酒の雑味を除くため外側を多く削れるよう大粒であることや、発酵が進みやすくなる「心白」という部分が大きいという特徴が知られています。

今回の研究では、およそ60品種のほぼすべての酒米に粒を大きくする遺伝子と、心白の形成に関わる遺伝子の2つがあることを初めて特定したということです。

酒米の改良には、これらの2つの特徴を交配を繰り返しながら強めていく方法が取られてきましたが、新しい品種の開発には平均で10年単位の期間とコストがかかります。

グループは、今回の研究で得られた知見をもとに交配を効率的に行って、少ない期間やコストで品質の高い酒米を作り出すことにつなげられるとしています。

吉田特任助教は「遺伝子の情報があれば育種をより早め、大幅な労力や時間の削減が可能になる。近年は気候変動よる悪影響が出ており、安定的な収穫量を確保できる酒米を作るのにも生かせる知見だ」と話しています。