“水素の地域社会導入を”南相馬市に水素燃料電池の発電所完成

福島県が、脱炭素の実現に向け、水素の地域社会への導入を進めるプロジェクトの一環で、南相馬市の民間の事業所に水素燃料電池の発電所が完成しました。

水素燃料電池の発電所が完成したのは、通信設備の建設などを行う東京の「ミライト・ワン」が、南相馬市鹿島区に設けた関連会社の事業所です。

この事業所の一角に発電設備が設置され、27日はこの企業や市の関係者などおよそ30人が出席して式典が開かれ、脱炭素を目指すあらたな拠点の完成を祝いました。

福島県は、去年7月からトヨタ自動車と連携して、県内で事業所の電源や車の動力源などに水素燃料を活用して脱炭素をめざすプロジェクトを進めていて、さまざまな企業が参加しています。

式典で、ミライト・ワンの中山俊樹社長は「建物のエネルギーに水素を活用し、福島の新しい未来づくりに参画できることに感謝しています」と述べました。

この発電所は、浪江町の水素製造施設で作られた水素を主に使用して発電し、併設する太陽光発電設備とあわせて、事業所で使用する年間の電力のうち1か月分をまかなう計画です。

災害時には、地域に電力を供給できるほか、今後は、ほかの燃料に比べて高いコストをいかに抑えるかなどの課題を検証するということです。

県の次世代産業課の加島優課長は「県がめざす“水素社会”を実現するためには一歩一歩進めていくのが大事なので今回の取り組みは大切な一歩です」と話していました。