東京電力旧経営陣強制起訴 指定弁護士が有罪主張し書類提出

福島第一原子力発電所の事故をめぐって東京電力の旧経営陣3人が業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴され、1審と2審で無罪となっている裁判で、検察官役の指定弁護士は「2審の判決は誤りだ」として有罪を主張する書類を最高裁判所に提出しました。

東京電力の勝俣恒久元会長(83)と武黒一郎元副社長(77)、武藤栄元副社長(73)の3人は、福島県の入院患者など44人を原発事故からの避難の過程で死亡させたなどとして、検察審査会の議決によって業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴され、1審と2審はともに無罪の判決を言い渡しています。

これを不服として上告している検察官役の指定弁護士は13日具体的な主張をまとめた上告趣意書を最高裁判所に提出し、都内で会見を開きました。

裁判では事故の9年前に国の機関が地震の予測について公表した『長期評価』の信用性が大きな争点となっていますが、指定弁護士は今回の書類で、「科学的な信頼性は高い。重要機器がある部屋の浸水を防ぐ対策を取っていれば事故は回避できた」などとして、2審の判決に重大な誤りがあると主張しています。

石田省三郎弁護士は、「民事裁判では最高裁判所が『長期評価』の合理性を明確に示しているので、刑事裁判でもわれわれの主張が認められると確信している」と話していました。