福島県などの住民や漁業関係者 処理水放出差し止め求め提訴

東京電力が福島第一原子力発電所にたまる処理水を薄めて海へ放出を始めたことについて、福島県などの住民や漁業関係者が、国と東京電力に放出の差し止めなどを求める訴えを福島地方裁判所に起こしました。

訴えを起こしたのは、福島県内外の住民や漁業関係者など151人です。

訴状の提出に先立ち、原告と支援者は、「汚染水の海洋投棄反対」などと列になって声をあげながら福島地方裁判所まで行進し、福島地方裁判所に到着すると訴状を提出しました。

東京電力福島第一原発にたまる処理水は、8月24日から薄めた上で海へ放出が始まりました。

訴えによりますと、原子力規制委員会に対して海洋放出計画の認可などの取り消しを求めるとともに、東京電力に対して放出の差し止めを求めています。

また、処理水の海への放出は8年前に国と東京電力が福島県漁連と結んだ「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」という約束を無視する行為で契約違反であり、住民が平穏に生活する権利を侵害し、海に関わる人たちの生活の基盤を壊すと主張しています。

訴えを起こしたあと開かれた集会のなかで、原告の1人のいわき市に住む女性は、「国は地元との約束を守る、丁寧に説明すると言っていたのに、約束はなかったかのようでひどい。毎日健康に暮らしたり身近にある自然を汚さないでほしいというのは当たり前のことだ」などと、話していました。

訴えについて、東京電力は「現時点では訴状が届いていない。訴状が届きしだい内容を確認した上で適切に対処していきたい」というコメント出しました。