処理水放出から1週間 設備にトラブルなし 海水も下限下回る

東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水の海への放出が始まってから、31日で1週間です。
これまでのところ、放出設備などにトラブルはなく、周辺の海水のトリチウム濃度も検出できる下限の濃度を下回っています。

福島第一原発では、汚染水を処理したあとに残るトリチウムなどの放射性物質を含む処理水が増え続け、1000基余りのタンクに、容量の98%にあたる135万トンが保管されています。

東京電力は、政府の方針に基づき、基準を下回る濃度に薄めた上で、8月24日から海への放出を始めました。

東京電力によりますと、これまでのところ、放出設備などにトラブルはなく、1日あたり450トン余りの処理水に700倍以上の海水を加えて放出していて、30日までに2900トン余りの処理水を放出したということです。

最初となる今回の放出では、7800トンの処理水を17日間かけて放出する計画で、今年度全体の放出量はタンクおよそ30基分の3万1200トンを予定しています。

東京電力は放出開始以降、原発から3キロ以内の海域で毎日海水を採取し、トリチウム濃度を分析していて、これまでのところ、すべて検出できる下限の濃度としている1リットルあたり10ベクレルを下回っているということです。

また、環境省や福島県が放出開始後に行った海水のモニタリングや、水産庁が原発周辺の海域で捕れた魚を分析した結果でも、トリチウムの濃度は今回検出できる下限の濃度を下回っています。

処理水の放出期間は30年程度に及ぶ見込みで、漁業者などは依然、風評への懸念を理由に反対を続けていて、政府や東京電力には長期にわたる安全性の確保と透明性の高い情報発信が求められています。