除染廃棄物など福島県の課題 最新研究の発表会 福島で始まる

原発事故に伴って出た大量の除染廃棄物の問題や被災地の復興など、いまも残る福島県の課題についての最新の研究発表が、30日から2日間の日程で、福島市で始まりました。

この研究発表は、福島第一原発事故をきっかけに、研究者などでつくる「環境放射能除染学会」が、県の課題の解決につなげようと震災の翌年から毎年開いています。

ことしは30日から2日間の日程で福島市で始まり、県内の除染で出た大量の廃棄物の減容化や、放射性物質の管理技術、被災地の活性化や復興などをテーマに、最新の研究成果が発表されます。

このうち福島大学のグループは、福島第一原発が立地し、一時、避難指示が広範囲に出されていまも復興が課題となっている、双葉郡の自治体の職員の現状について、オンラインで発表しました。

発表では、職員を対象にしたアンケートをもとに、震災後の対応に忙殺され、職員たちが復興のあるべき姿を議論できていない点を課題として指摘しました。

また、放射性物質を含む焼却灰などをセメントで閉じ込める技術について、北海道大学などが行った研究では、促進剤を使ってセメントを固めることはできたものの、放射性物質が溶け出すのを防ぐ効果は得られなかったことを明らかにしました。

主催した学会の大迫政浩理事長は「福島県に残る長期的な課題について、社会全体で合意するためにこのような場を大切にしていきたい」と話していました。