処理水の風評被害対策 政府・東京電力は

政府は、福島第一原発にたまる処理水の放出に伴う風評被害などの漁業者への影響を最小限に抑えようと、合わせて800億円に上る2つの基金を設けています。

このうち、おととし12月に設けられた300億円の基金は、処理水の放出に伴う風評被害などへの対策が主な目的です。

放出の影響で、卸売市場などでの水産物の取り引き価格が原則、7%以上下落した場合、▽漁業者の団体などが一時的に買い取って冷凍保管するための費用を上限なしで補助するほか、▽企業の社員食堂に水産物を提供する際にかかる費用などを最大1億円、支援します。

一方、去年11月に設けられた500億円の基金は、漁業者の事業継続を支援するのが主な目的です。

放出の影響で、売り上げが3%以上減少した場合などは、▽新たな漁場の開拓などを支援するため、人件費や漁具の購入費用などに最大3000万円を補助するほか、▽省エネ性能に優れた漁船のエンジンなどの導入費用に最大2000万円を補助するなどとしています。

一方、東京電力も去年12月、処理水の放出に伴って風評被害が発生した場合、賠償額をどのように決めるか基準を公表しています。

この基準では、期間や地域、業種は限定しないとしたうえで、▽風評被害による水産物や農産物の価格下落で売り上げが減少した場合や、▽外国からの禁輸措置を受けた場合などに賠償の対象になるとしています。

具体的な賠償額は、事業者ごとに風評被害による影響を確認したうえで、損害額を算定する方針で、今後、関係者の意見も聞いたうえで詳細な基準を策定することにしています。