中国などの水産物輸入停止 漁業者などへの支援が課題

東京電力福島第一原発にたまる処理水の放出をめぐり、今月24日、中国は日本産の水産物の輸入を全面的に停止すると発表しました。
原発事故をきっかけした輸入停止などの動きは、現在も7つの国や地域で続いていて、政府として、中国などに粘り強く理解を求めるとともに、影響を受ける漁業者などへの支援が課題となります。

福島第一原発にたまる処理水を薄めたうえで海への放出が始まったことを受けて、中国の税関当局は今月24日、日本を原産地とする水産物の輸入を全面的に停止すると発表しました。

原発事故のあと、食品の輸入停止などの動きは一時、55の国や地域に及びましたが、現在も7つの国や地域では規制が続き、このうち中国や韓国、香港など5つの国と地域は輸入停止の措置をとってきました。

特に中国は、福島、宮城、東京、千葉など1都8県で生産されるすべての食品の輸入を停止し、韓国は福島、宮城、茨城など8県で、すべての水産物の輸入を停止するなどしています。

中国は、処理水の放出前から日本から輸入する食品に対する検査を厳しくしていて、日本から輸出された水産物などが中国各地の税関当局でこれまでより長く留め置かれていることが確認されています。

日本から中国への農林水産物や食品の輸出額は、去年およそ2783億円にのぼり、日本にとって最大の輸出先だけに影響の広がりが懸念されます。

また香港政府とマカオ政府も24日から福島を含む10都県からの水産物などの輸入の禁止を発表しています。

政府としては輸入規制など科学的根拠に欠く対応はとらないよう求めていくとしていますが、反発を強める中国などに粘り強く理解を求めるとともに影響を受ける漁業者や水産業者への支援が課題となります。