東電社長 周辺自治体訪問「風評被害生じさせない強い覚悟」

東京電力福島第一原発にたまる処理水を基準を下回る濃度に薄め、24日にも海へ放出を始めるのを前に、東京電力の小早川智明社長は原発周辺の自治体を訪れ、風評被害を生じさせないという強い覚悟を強調し、理解を求めました。

福島第一原発にたまる処理水を薄めて海に放出する計画をめぐり、政府は、気象条件などに支障がなければ24日、放出を始めることを決め、東京電力が放出への準備作業に入っています。

こうした中、東京電力の小早川社長は放出への理解を求めるため、23日、福島県いわき市や広野町など原発周辺の5つの市や町を訪れました。

このうち、全域が原発から半径30キロの範囲にある広野町では遠藤町長らと面会し、この中で小早川社長は「処理水の海洋放出は廃炉の完遂まで長期にわたり取り組むべき課題だ。さまざまな懸念や不安に向き合い、廃炉作業が終わるまで風評被害を生じさせないという強い覚悟で取り組んでいく」と強調しました。

これに対し、遠藤町長は「放出にあたっては安全や透明性の確保、風評対策の取り組み、適切な賠償の実施などに全力で取り組んでもらうとともに、住民や漁業者に寄り添いながら会社一丸となって取り組んでほしい」と述べました。

小早川社長は今後も、原発周辺の他の自治体を訪れ、放出への理解を求めていくことにしています。

原発周辺の各自治体への訪問を終えた東京電力の小早川智明社長は、記者団の取材に対し、24日予定される放出について、「初動段階でエラーが起こることはあってはならず、とにかく慎重に進めていくことが重要で、一つ一つのステップを踏みながら安全かつ着実に進めていきたい」と述べました。

そのうえで、「地元には、将来にわたって、なりわいが継続できるのかという懸念があることは十分承知している。風評対策をしっかり行い、損害が生じた場合には業種、業態にかかわらず、速やかに適切な賠償を行ってきたい」と述べ、責任を持って対応にあたっていく考えを改めて示しました。