西村経産相 福島第一原発の処理水放出設備を視察

西村経済産業大臣は10日、福島第一原子力発電所にたまる処理水を基準を下回る濃度に薄めて海に放出するための設備を視察し、東京電力に対して、安全性の確保に緊張感を持って取り組むよう求めました。

政府は、東京電力福島第一原発にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水について、基準を下回る濃度に薄めて、ことし夏ごろから海への放出を始める方針で、具体的な放出時期の検討に入っています。

実施に向けて、西村経済産業大臣は10日、福島第一原発を訪れて放出を行う設備を視察し、トラブルがあったさいに放出を止める「緊急遮断弁」や沖合にある処理水の放出口の位置などを確認しました。

続いて西村大臣は、東京電力の小早川智明社長らと面会し、「安全性を確保する取り組みについて、引き続き緊張感を持って対応してほしい。風評による損害が発生した場合には、適切に賠償を行ってほしい」と求めました。

これに対して、小早川社長は「放出関連設備を的確に運用していけるよう、現場の安全と品質を確実にする活動をしっかり進めていきたい。風評による被害が発生した場合の賠償についても迅速に対応できるよう体制を整えていく」と応じていました。

西村大臣は11日、福島県漁連の野崎哲会長らと面会し、放出や風評対策について改めて理解を求めることにしています。

西村経済産業大臣は視察のあと記者団に対し、「安全対策や風評対策について、国内外に幅広く、丁寧に、できるだけ分かりやすく説明を重ねていきたいと考えている。そのうえで、具体的な放出時期については、安全性の確保と風評対策の取り組みの状況を政府全体で確認して判断していきたい」と述べました。