防衛費増額に向けた財源確保で参院財政金融委が福島市で公聴会

防衛費増額に向けた財源を確保するための法案を審議している参議院の財政金融委員会は12日、福島市で地方公聴会を開き、3人が意見を述べました。

今回の地方公聴会は野党側が開催を求めていたものです。

政府は、防衛費の財源を確保するため所得税の納税額に新たに1%の付加税を課す方針を示す一方、東日本大震災からの復興予算にあてる「復興特別所得税」の税率を1%引き下げたうえで課税期間を延長するとしています。

公聴会ではこうした政府の方針について3人が意見を述べました。

このうち、福島県浪江町の吉田栄光町長は「去年、政府が決定した税制改正大綱で、東日本大震災からの復旧復興に寄与する財源は責任を持って確実に確保するという文言が明記された。政府は復興・再生に向けた財源確保にしっかりと取り組んでほしい」と述べました。

岩手県陸前高田市でワイナリーを経営する及川恭平代表は「国の防衛も大事だが、東日本大震災からの復興予算にあてる復興特別所得税を国防の財源に使うのは違うと感じる。食料や農業など10年後にどういった政策が必要か改めて考えて、さらなる復興に向けた取り組みをお願いしたい」と述べました。

原発事故の被害者でつくる福島県いわき市の原告団の伊東達也団長は「復興特別所得税は、いうまでもなく東日本大震災の復興のための税だ。それを本来の趣旨に全く反する軍事費に転用することは、大方の人から反対の声があがっている。福島に住んでいる一人として、強い怒りを感じる」と述べました。

地方公聴会を終えたことで与党側は法案の委員会での速やかな採決を目指す考えですが、野党側は慎重な姿勢を崩していません。