福島第一原発 処理水放出設備の試運転始まる

福島第一原子力発電所にたまる処理水を薄めて海に流す計画をめぐり、東京電力は12日、建設を進めてきた放出設備の試運転を始めました。
2週間ほどかけて性能の確認などを行う計画で、原子力規制委員会による検査などを経れば、早ければ今月中にも放出の前提が整う可能性があります。

福島第一原発にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水について、東京電力は、政府の方針に従って基準を下回る濃度まで海水で薄めたうえで、ことし夏ごろまでに海に流す計画です。

処理水を放出するための設備はこれまでにほぼ完成していて、東京電力は12日午前、試運転を始めました。

試運転では、処理水の代わりに真水をそれぞれの設備に流し込み、正しく稼働するかどうかや何らかの異常が発生した場合に水の流れを遮断できるかどうかなどの性能の確認を2週間ほどかけて行う計画です。

また、試運転と並行して、処理水を沖合に送る海底トンネルの放出口に残されている掘削用の重機を回収することにしていて、これが終われば、処理水の放出に関わる工事が完了することになります。

今後は、原子力規制委員会による検査と、IAEA=国際原子力機関による処理水の安全に関する包括的な報告書の公表がいずれも今月中に行われる予定で、設備の完成と合わせて、早ければ今月中にも放出の前提が整う可能性があります。