窃盗の罪に問われた元警察官 執行猶予のついた有罪判決

福島第一原発の事故で立ち入りが厳しく制限されている帰還困難区域の空き家などから女性用の下着を盗んだとして窃盗などの罪に問われている39歳の元警察官に対し、福島地方裁判所は執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。

元福島県警巡査部長の木元優被告(39)は、災害対策課の特別警ら隊で帰還困難区域のパトロールなどを担当していた去年10月、大熊町と富岡町の空き家に侵入し、女性用の下着など合わせて29点、5700円相当を盗んだとして、窃盗と邸宅侵入の罪に問われています。

30日の判決で、福島地方裁判所の三浦隆昭裁判官は、「警察官としての知識や立場を悪用して帰還困難区域の空き家に侵入して下着などのプライバシー性の高いものを盗んだ犯行は、被害者に強い嫌悪感を生じさせるばかりでなく、警察全体に対する信頼を失墜させかねない悪質なものだ」と指摘しました。

その上で、「離婚や交際相手との関係など私生活上の問題から自暴自棄的になって、ためていた欲望のままに犯行に及んだというが、つらい出来事であったとしても、自分の置かれた立場も考えずにゆがんだ性欲を満足させるために無関係の第三者に被害を与える理由とすることはできない」として、懲役2年の求刑に対し懲役2年執行猶予3年の判決を言い渡しました。

木元被告は、閉廷後報道陣に対し、「警察組織への県民の信用を失墜し、大変申し訳ないと思う。すべて私がしたことなので、判決を真摯に受け止めて今後社会に貢献できるようにしたい」と述べました。