阿武隈急行 鉄道事業5億9000万円余の赤字 地震など影響

阿武隈急行のことし3月期の決算が発表され、施設が被害を受けた去年3月の地震や新型コロナの影響で、鉄道事業のもうけを示す営業損益は5億9000万円余りの赤字になりました。

福島市と宮城県柴田町を結ぶ第3セクターの阿武隈急行は、ことし3月期の1年間の決算を発表しました。

それによりますと、乗客の数は128万人余りと、前の年度に比べておよそ25%減り、1988年の全線開通以降、最も少なくなりました。

去年3月に福島県沖で発生した地震で線路や駅舎などが被害を受け、一時、全線で不通となり、全線の運転再開までに3か月ほどかかったことや、新型コロナの影響を乗客数の落ち込みの要因として挙げていて、本業の鉄道事業のもうけを示す営業損益は5億9000万円余りの赤字となりました。

地震の復旧にかかる国の補助金など25億7000万円余りを特別利益として計上したため、最終的な損益は9億4000万円余りの黒字になりましたが、累積赤字は14億円を超えています。

阿武隈急行は「非常に厳しい状況と認識している。新型コロナや災害の影響がなかった年と比べ乗客数が半分に落ち込んでいるので、沿線に住む住民や地域外の住民に利用してもらえるよう取り組みを続けていきたい」としています。

阿武隈急行をめぐっては、沿線自治体や有識者による検討会が開かれ、経営方式などの変更も含めて改善策の検討が続けられています。