東日本大震災と原発事故から12年 復興へ残された大きな課題

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生から11日で12年です。
この1年でようやく帰還困難区域の一部の避難指示解除が実現しましたが、残された帰還困難区域の解除の見通しは不透明なままで、実施が迫っている原発の処理水の放出や除染廃棄物をめぐる問題など大きな課題も残されたままです。

東日本大震災の地震や津波、土砂災害で亡くなった人は、警察によりますと1614人に上り、今も196人の行方がわかっていません。

また、県によりますと、長引く避難生活などで体調が悪化して亡くなったいわゆる「震災関連死」は、今月8日現在で2335人に上っています。

福島第一原発の事故で、周辺の12の市町村に避難指示が出され、南相馬市、双葉町、大熊町、浪江町、富岡町、葛尾村、それに飯舘村の比較的放射線量が高い地域に、立ち入りが厳しく制限される帰還困難区域が設定されました。

このうち南相馬市を除く6つの町と村に、先行して除染とインフラ整備を進める「特定復興再生拠点区域」が設けられ、去年の葛尾村、大熊町、双葉町の避難指示解除に続き、浪江町で今月31日に、富岡町で来月1日に、飯舘村で大型連休ごろに避難指示が解除されれば、「拠点区域」の解除がすべて終わります。

こうした地域では復興が前進するとみられますが、避難指示解除が実現するのは当初設定された帰還困難区域のわずか8%で、残りの92%、309平方キロ余りは帰還困難区域のままです。

政府は、こうした地域への希望者の帰還を進めるため、個別に住民の意向を把握したうえで「特定帰還居住区域」という新たな枠組みを設ける方針を示していて、来年度、大熊町と双葉町でこの枠組みによる除染作業が始まります。

一方で、地元の漁業関係者を中心に根強い反対の声がある中、原発の処理水を基準を下回る濃度に薄めて海に放出する計画が春から夏ごろに迫っているほか、除染廃棄物をめぐる問題の先行きも不透明なままで、福島の復興は、解決が難しい「残された大きな課題」に向き合う新たな段階に入っています。