ゼロからわかる福島のいま「福島国際研究教育機構」

ゼロからわかる福島のいま「福島国際研究教育機構」

東日本大震災と原発事故の発生から12年がたとうとする福島の現状や課題などを、1日1つずつテーマを絞ってまとめるシリーズ「ゼロからわかる 福島のいま」。
10日のテーマは、「福島国際研究教育機構」です。

福島県の浜通り地域は、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う長期の避難の影響などで人口が著しく減少し、産業の基盤が失われました。

このため、国は浜通り地域に最先端の産業を集積する「イノベーション・コースト構想」を掲げ、複数の研究拠点の整備が進められていますが、その1つが、「福島国際研究教育機構=F−REI」です。

世界最先端の研究・開発や廃炉に関わる人材育成を目指す国の拠点で、来月1日、浪江町に設立されます。

研究テーマは5つで、このうち▽「ロボット」では、原発の廃炉や災害時に対応する技術の開発などに取り組みます。

▽「農林水産業」では、AI=人工知能やICT=情報通信技術を活用した実証研究や地域循環型の経済モデルの構築を目指します。

▽「エネルギー」では、水素エネルギーの活用や、二酸化炭素を回収する技術の開発などに、▽「放射線科学・創薬医療、放射線の産業利用」では、がんなどの検査で使う「放射性医薬品」の開発などに取り組みます。

▽「原子力災害に関するデータや知見の集積・発信」では、放射性物質が環境や生態系にどう移行するかなどを研究します。

来年度から7年間の事業規模は1000億円を想定し、このうち初年度の来年度の研究費はおよそ126億円です。

将来的に、研究グループはおよそ50、人員は、国内外の研究者と職員を合わせて数百人を目指します。

国は、浜通り地域などの自治体などと連携する協議会をことし5月に設立する計画で、機構と地域が連携しながら人口の増加や産業の活性化など効果を最大限に波及させていきたいとしています。