処理水放出 韓国や中国など一部で理解進まず 調査でわかる

東京電力は、福島第一原子力発電所にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水を政府の方針に従って、ことし春から夏ごろに海に放出する計画ですが、この処理水に対する海外の理解が韓国や中国など一部で進んでいない実態があることが研究者の調査でわかりました。

この調査結果は、大学の研究者などが、8日福島市で、自治体職員などを対象に行った原発事故や復興の現状についての報告会で、東京大学の関谷直也准教授が発表しました。

調査は、去年3月に、日本のほか、韓国やアメリカなど10の国と地域ごとに、20代から60代の男女、300人を対象にインターネットで行い、回答を得ました。

このうち、処理水が放出された場合「福島県産の海産物を購入しようと思うか」とという設問で「思わない」という回答は、韓国が最も多く81.3%、中国が63%、台湾が55%などでした。

調査では韓国や中国などの日本の近隣諸国で「いまでも日本政府は原発からの放射性物質の情報を公開していない」などという回答も5割にのぼっていたということです。

関谷准教授はこれらの国では12年前の事故直後の情報や印象がそのまま残っていて、いまだに福島県や日本に対して根強い不安があると指摘しました。

関谷准教授は「海外では当初は大きく報道されるがそれ以降は情報が伝わりづらくなってしまう。処理水だけではなくいまの福島の現状を国や自治体、マスコミなどがきちんと伝えていくことが大事だ」と話していました。