絶滅危惧種クマガイソウ 地域で異なる繁殖方法 福島大調査

絶滅危惧種に指定されている野生のランの一種で、繁殖の仕組みがわかっていない「クマガイソウ」が、地域ごとに異なる繁殖方法で増えていることが福島大学の研究グループの調査でわかりました。
グループは「繁殖方法が異なる理由を解明すれば保全につなげられるかもしれない」としています。

福島大学の山下由美客員准教授らのグループは、野生のランの一種「クマガイソウ」のサンプル480点余りを福島県を含む国内の20か所から集め遺伝子の特徴を調べました。

その結果、大規模な生息地として知られる福島市松川町を含む6か所ではほかの地域と比べて遺伝的に異なるものが多く、種で増えていることが新たにわかりました。

一方、いわき市などでは、体の一部が分裂して増える「クローン」と呼ばれる仕組みで増えていることもわかりました。

クマガイソウは絶滅危惧種に指定されていますが、繁殖の仕組みが完全にはわかっておらず、グループは地域ごとに異なる繁殖の仕組みと生育環境との関係を調べれば種で増える条件などが解明でき、保全につなげられる可能性があるとしています。

山下客員准教授は「クマガイソウは謎の多い植物ですが、今回、種で増える場所が特定できたことで保全につながる新たな知見が得られると考えている」と話しています。