帰還困難区域のイノシシ調査”遺伝子の突然変異など見られず”

東京電力福島第一原子力発電所の事故による野生動物への影響を調べるため、福島大学などの研究グループが放射線量が比較的高い帰還困難区域などに生息するイノシシを調査したところ、「被ばくによる
遺伝子の突然変異などは見られなかった」とする結果をまとめました。

福島大学の兼子伸吾准教授などの研究グループは、2019年までの3年間に大熊町や双葉町などの帰還困難区域やその周辺で捕獲された191頭のイノシシの放射線の被ばく量と遺伝子への影響を調べました。

それによりますと、空間放射線量や筋肉に含まれる放射性セシウムの量などから、イノシシが生きている間に被ばくした放射線量は、最大で700ミリシーベルトと推定されたということです。

さらに、これらのイノシシの遺伝子の24か所を調べたところ変異は見られず、研究グループは少なくとも今回の結果からはイノシシに遺伝的な突然変異があるとは言えないとしています。

研究をまとめた兼子准教授は「もともと被ばく線量が少なく変異が起きていないか、あるいは生き物は常に遺伝子の変異を直しているので、この地域の空間線量が生き物が修復できる範囲に収まっていると考えられる。こうした知見を積み上げていくことは事故の影響を理解し、さらに風評を払拭する意味でも重要だ」と話しています。