建設アスベスト訴訟 5社に1億4800万円賠償命令

建設現場でアスベストを吸い込んで、肺がんになったなどとして、九州各地の元作業員や遺族が建材メーカー16社に損害賠償を求めた裁判で、福岡地方裁判所は、このうち5社の責任を認めて、あわせて1億4800万円余りの支払いを命じる判決を言い渡しました。
九州の建設現場で働き、肺がんやアスベスト特有のがん、中皮腫などになった元作業員や遺族あわせて65人は、健康被害が出ることを知りながらアスベストを含む建材の使用を推進したり、対策を怠ったりしたとして、建材メーカー16社に対し、9億1000万円余りの損害賠償を求めています。
原告は国への賠償も求めていましたが、裁判の途中でおととしまでに原告全員が国と和解して、あわせておよそ3億1300万円の和解金の支払いを受けています。
27日の判決で福岡地方裁判所の上田洋幸裁判長は「アスベストを含む建材を製造・販売していたメーカーは、屋内の建設作業員が粉じんにさらされることを予測することは可能だった。そのため、メーカーは作業員に対して、危険性の内容や回避手段について、警告すべき義務があったが、行わなかった」などと指摘し、メーカー16社のうち5社の責任を認めました。
一方、屋外の作業や建物の解体に従事していた人などについてはメーカーの責任を認めず、あわせて55人への賠償として1億4800万円余りの支払いを命じる判決を言い渡しました。