大腸がん再発引き起こす がん幹細胞発見 九大研究グループ

九州大学生体防御医学研究所の研究グループが大腸がんの再発を引き起こすがん幹細胞を発見したと、発表しました。
この幹細胞を取り除く薬を開発することで新たな治療法につながると期待しています。
大腸がんについては近年、国内でも患者が増加傾向にあります。
九州大学生体防御医学研究所によりますと、大腸がんは、初期の場合でも病変部の切除を受けた患者の2割近くが再発していて、治療上の課題の1つとなっています。
研究にあたった中山敬一主幹教授らのグループは大腸がんの細胞を詳しく解析し、がんの増殖や再発の原因となるがん幹細胞が2種類あることを明らかにしました。
このうちの1種類は増殖が遅い休眠状態にあり、こうした状態にする特定の分子を持っていることがわかったということです。
研究グループがこの分子を取り除いたマウスに抗がん剤を投与したところ、分子を持つマウスに比べてがんの再発が5分の1以下に抑えられたということです。
現在、大腸がんの治療は病変部の切除や抗がん剤の投与が主ですが、研究グループは、大腸がんの再発を引き起こしているがん幹細胞を取り除く薬の開発をすることで新たな治療法につながると、期待しています。
この研究の成果はアメリカの医学誌に、8日、掲載されました。