「ハピラインふくい」が16日運行開始 経営安定化が課題

北陸新幹線の金沢・敦賀間の開業に伴って、JR北陸線の一部の区間の運行を引き継ぐ「ハピラインふくい」が16日、運行を開始しました。
快速列車の運行や増便で利用の拡大を図りますが、当面の収支は赤字が見込まれ、経営の安定化をどう図っていくかが課題となりそうです。

100年以上にわたって県内の交通の大動脈となってきたJR北陸線は、北陸新幹線の金沢・敦賀間の開業に伴って、16日から第3セクターの「ハピラインふくい」が、敦賀駅と、石川県加賀市の大聖寺駅の間の運行を引き継ぎました。
16日朝、福井駅のホームで、開業を記念した式典が開かれ、ハピラインふくいの小川俊昭社長が、「県民の足として、そして来県者の足としての重要な役割だと認識している。安全安心を第一に末永く親しまれ、愛され、選ばれる鉄道となるよう頑張りたい」とあいさつしました。
このあと、ハピラインふくいのイメージカラー、ピンクとグリーンのデザインで彩られた記念の車両が、出発進行の合図とともに敦賀駅へ出発していきました。
北陸新幹線の延伸に伴ってJR西日本の特急列車が金沢と敦賀の間で廃止されたため、ハピラインふくいは、福井・敦賀間を約40分で結ぶ快速列車を1日9本運行し、普通列車も北陸線の時より1日20本増便して利用の拡大を図ることにしています。
ただ、会社の経営計画によりますと、2034年度までの11年間の収支は、累計で約70億円の赤字となる見通しで、これまでの運賃からの値上げも行います。
人口の減少も見込まれる中、どのように利用客を増やし、経営の安定化を図っていくかが今後の課題となりそうです。

【福井駅に多くの利用客 券売機や精算窓口に長い列】
16日からJR北陸線の一部の区間の運行を引き継ぐ「ハピラインふくい」の福井駅には、初日から多くの利用客がつめかけ、券売機や精算窓口に長い列ができ、職員が対応に追われる様子が見られました。
福井駅の券売機の近くでは、列車の出発時間が迫った乗客が切符を買わずに乗って降りる駅で運賃を支払えるよう、駅員が「乗車証明書」を配る姿も見られました。
ホームは大勢の乗客であふれ、列車が来ても、一部の乗客が乗り切れず、あとから来る列車を待つ場面も見られました。
また、列車が福井駅に到着するたびに、開業記念で切符を持ち帰りたいという乗客や、券売機が故障した出発駅で切符を買えなかった人で精算窓口が混雑し、駅員が対応に追われていました。
ハピラインふくいで敦賀駅に行った後、北陸新幹線に乗って金沢駅に向かうという福井市の50代の男性は、「券売機が1つしか開いていなかったので、20分ほど並びました。結構時間がかかりましたが、大事な地域の交通手段になるので、大切に利用していきたい」と話していました。
ハピラインふくいによりますと、現在、福井駅の中には、新幹線との連絡改札口も含めて2台しか券売機がないということで、今後、改札口近くの切符売り場では、JRの券売機との交換作業を行って1台増設し、混雑の解消をはかることにしています。

【4駅で現金で切符が買えなくなるトラブル】
ハピラインふくいでは初日の16日、越前花堂、森田、春江、丸岡の4つの駅で自動券売機に不具合が起き、現金で切符が買えなくなるトラブルがありました。
開業に合わせて新しく使い始めた券売機の釣り銭を出す部分が詰まり、硬貨が出てこなかったことが原因とみられるということです。
不具合が起きた4つの駅はすべて無人駅で、ここで乗車した人たちには降りた駅で係員に乗った場所を申告し、精算をしてもらったということです。
福井駅の精算窓口では運賃を精算しようとする客で長い列が出来ていました。
会社はほかの駅でも状況を確認するとともに復旧作業を進め、不具合は午後5時ごろまでに解消したということです。
ハピラインふくいは「開業初日にもかかわらず多くのお客様にご迷惑をおかけし大変申し訳ない」としています。