高浜町元助役 金品受領問題 報告書資料の大部分開示

県の職員や元幹部ら109人が高浜町の元助役から金品を受け取っていた問題で、県は、開示していなかった聞き取り調査の資料の大部分を、裁判所の判決に基づいて開示しました。

県の職員や元幹部ら109人が高浜町の元助役から金品を受け取っていた問題で、市民団体による情報公開請求に対して、県が、職員らの聞き取り調査の回答内容などの資料を開示しなかったことから、市民団体が訴えを起こし、去年11月、名古屋高等裁判所金沢支部が「一律に開示しないのは違法だ」とする判決を言い渡しました。
県は判決を受け入れて情報公開の専門家などの意見を踏まえた上で開示の方針について改めて検討し、29日、県庁を訪れた市民団体のメンバーに改めて調査資料を手渡しました。
県によりますと、調査資料のうち、元助役やその家族に関わる個人情報や、回答者の職務に関係のない個人情報などを除いて、回答内容の大部分を開示すると決めたということです。
その結果、調査の対象となった313人のうち、一部が非開示となった22人以外はすべての回答内容が開示され、黒塗りにされていた金品の授受の有無や、受け取った時の状況など詳しい内容が明らかになりました。
県は、「控訴審の判決や、有識者の意見を聞いた上でこのような判断になった」としています。

(これまでの経緯)
これまでの経緯を振り返ります。
5年前の2019年、関西電力の旧経営幹部らが高浜町の元助役から金品を受け取っていた問題を受けて、県の調査委員会が県の職員や元幹部らを調査した結果、計109人が元助役から金品を受け取っていたことがわかりました。
この調査結果の元になった職員の回答内容などの資料について、市民団体が約4年前に情報公開請求を行ったところ、多くの部分が黒塗りで開示されなかったことから、市民団体は、開示するよう求める訴えを起こしました。
県は、職員らの回答内容を開示すると個人が特定される恐れがあるなどと主張していましたが、おととし9月(2022)、1審の福井地方裁判所は、市民団体の訴えを認め非開示とした県の決定を取り消す判決を言い渡しました。
これに対して県は控訴しましたが、去年11月(2023)、2審の名古屋高等裁判所金沢支部も1審の判決を支持し、「回答内容を全面的に公開しない理由があるとはいえない」などとしたうえで、非開示にする部分を改めて検討すべきだとしました。
県はこの判決を受け入れ、開示の方針について再検討が終わったことから29日、資料が公開されました。
資料を開示するよう求めて訴えを起こした市民オンブズマン福井の伊東晴美事務局長は、「原則公開に至ったことは期待以上の結果であり、5年間、根気強くやってきたかいがあった。今後、弁護士と一緒に開示された内容について確認していきたい」と興奮した様子で話していました。