新型コロナ救急搬送訴訟 男性の母“要請かき消され許せない”

新型コロナウイルスに感染した千葉県の23歳の男性が死亡したのは救急搬送を適切に行わなかったためだとして、男性の両親が国や千葉県などにあわせて1億円余りの賠償を求めている裁判が開かれ、男性の母親が「救急搬送の要請がかき消され、許すことはできない」などと述べました。
一方、千葉県などは過失はなかったなどと主張しました。

3年前の8月、千葉県船橋市の基礎疾患があった当時23歳の男性が新型コロナに感染して死亡し、両親は国と千葉県、船橋市にあわせて1億円余りの賠償を求める訴えを起こしています。
24日東京地方裁判所で開かれた裁判で、男性の母親が意見陳述を行いました。
母親は「『搬送先の調整』という名のもとに何度も行った救急搬送の要請がかき消され、決して許すことはできない。コロナ患者の命を軽視した対応をされ、苦しんでいる人たちはほかにもいると思うので、この裁判がそういう人たちのともし火になってほしい」と述べました。
一方、国は「患者の搬送などは地方自治体の業務で、国は責任を負わない」などと主張しました。
入院先の調整などを担った千葉県は「当時は病床がひっ迫していた」、保健所などを運営する船橋市は「適切な対応を行った」などとしていずれも過失は無かったと主張しました。