「2024年問題」 運送会社は業務効率化で対応 千葉 君津

1日からトラックドライバーなどの時間外労働の上限規制が強化され、千葉県君津市の運送会社では社員らに対して定められた労働時間を守るよう呼びかけました。

1日から新たに運送業にも時間外労働の上限規制が始まり、労働環境の改善が期待される一方で、ドライバーの労働時間の短縮や人手不足によって輸送量の減少が懸念される「2024年問題」への対応が課題となっています。
君津市に本社を置く運送会社、「安房運輸」では毎月1日に幹部などが集まり前の月のドライバーの労働時間の実績を共有する会議を開いていて、1日は石川夕伎夫社長が「この日に向けて業務の効率化に取り組んできた。これまで以上に厳しく徹底してほしい」と呼びかけました。
この会社は主に生活雑貨品などを運んでいてこれまでに労働時間の短縮のため効率化に取り組んできました。
具体的には、車体と荷台が分かれるトラックを導入し、愛知県の営業所との間で荷物をやりとりする場合、中間地点にあたる静岡県内で互いの荷物を交換し引き返して運ぶことで、それぞれのドライバーが出先で宿泊せずにその日のうちに自宅に戻れるようにしています。
この取り組みは自社内だけではなく、関西などの運送会社とも連携して行っているということです。
石川社長は「これまで準備をしてきてなんとか輸送能力は確保できているが、今回の規制でまだまだ人手が必要だ。賃金や福利厚生をさらに改善しながら人手を確保したい」と話していました。

ネットスーパー事業を展開している流通大手「イオン」のグループ企業は、商品を配送するドライバーの労働時間を削減するため、AIを活用して商品の積み込みや配送を効率的に行う仕組みを去年から導入しています。
千葉市緑区のこの会社の倉庫では、配送先ごとにまとめられたかごの一つ一つがバーコードで管理され、トラックに積み込む前に大型の台車に載せます。
その際にバーコードを読み込むと、効率よく配送できるようAIが配送ルートを決めて台車に載せる場所を指示し、その指示どおりに従業員がかごを積み込みます。
さらに、台車をトラックに載せるときも、それぞれの台車を荷台のどの位置にどの方向で積み込めばよいかをAIが指示します。
会社側によりますと、こうした工夫で配送にかかる時間を短縮できるほか、積み込みの作業を倉庫の従業員が行うことでドライバーの労働時間の削減につなげているということです。
「イオンネクストデリバリー」の野澤知広社長は「物流では生産性を上げて経験の差をなくしていくことが重要で、そのために業務の標準化やデジタル化を進めていく必要がある。ドライバーだけでなく、管理者の負荷も減らしていきたい」と話していました。