千葉 山武市 所有地に搬入の土砂飛散被害 第三者委が報告書

千葉県山武市で市の所有地に運び込まれた大量の土砂が周辺の住宅街などに飛散する被害が相次いだ問題で、原因究明などを目的に市が設置した第三者委員会が報告書をまとめ、業者との契約時に運び込む土砂の量や高さを取り決めていなかったとして、全職員への研修の実施などを求めています。

山武市小松にある市有地の周辺ではおととし、積み上げられた土砂が砂ぼこりとなって周辺に頻繁に舞うようになり、住民から苦情や相談が相次ぎました。
この市有地では当時、敷地内の池などを埋め立てる工事が行われていて、市の調査では想定の1.6倍の量の土砂が運び込まれ、工事後の土砂の高さは、予定の2倍の3メートルほどに達していたところもあったということです。
その後、市は土砂の飛散を防ぐ薬剤を散布するとともに、去年9月、弁護士や専門家で作る第三者委員会を設置して原因の究明や対策について議論が交わされてきました。
委員会は18日、報告書をまとめ、松下浩明市長に提出しました。
それによりますと、運び込む土砂の量や積み上げる高さについて、業者との契約書のなかで取り決めておらず、土砂が想定以上に運び込まれても対処されなかったとしています。
また、担当の部署が市が条例で定める土砂の環境基準値を認識しておらず、基準を満たしていない土砂が搬入されたと指摘しています。
そのうえで報告書では再発防止策として、すべての職員に公文書の管理の重要性や適切に契約を結ぶことなどを改めて認識させる必要があるとして研修を継続的に実施することなどを提言しています。

第三者委員会の委員長を務める拝師徳彦弁護士は記者会見で、「契約がそもそも不適切なうえ、契約文書がなかったり記載が誤っていたりしていて、公文書に対する意識が希薄だったと考えられる。契約文書がなくても業務を進めるといった組織文化が根づいているので、市全体で改める必要がある」と指摘しました。
報告書を受け山武市の松下浩明市長は「大変重く受け止めており、市民の皆様に心からおわび申し上げる。再発防止に向けて市として対応していく」と述べました。