千葉県東方沖 専門家“「スロースリップ」に伴い活発化か”

千葉県東方沖で相次いでいる地震活動について専門家が分析をしたところ、地下のプレートの境界がゆっくりとずれ動く「スロースリップ」と呼ばれる現象に伴って活発化している可能性が高いことがわかりました。
この地域では数年おきに同様の現象が確認され、過去には震度5弱の揺れも観測されていることから専門家は、当面は揺れへの備えをふだん以上に確認するよう呼びかけています。

地殻変動が専門で京都大学防災研究所の西村卓也教授は千葉県東方沖の地震活動に関して国土地理院のGPSによる観測データを分析しました。
その結果、房総半島東側の地盤は通常、北よりに動くのに対し、先月27日にはほぼ逆にあたる、南東方向へ動いていることが確認されました。
ちょうどこのころから、地震活動が活発になっていました。
こうしたことから、西村教授は房総半島の沖合で、海側のプレートと陸側のプレートの境目がゆっくりとずれ動く「スロースリップ」という現象が起きているとみています。
「スロースリップ」は千葉県東方沖では2011年や14年、18年など数年おきに確認され、これに伴って地震活動が活発になっています。
6年前には千葉県で震度5弱の揺れを観測する地震も起きています。
西村教授は「この地域ではスロースリップは1週間や10日ほど続くが、地震活動については1か月ぐらいは注意が必要だ。1月には能登半島地震も起きたが、あまり恐れすぎるのもよくない。ふだんの生活を続けながら揺れへの備えをいっそう確認してほしい」と話しています。

政府の地震調査委員会や国土地理院によりますと、千葉県東方沖では「スロースリップ」が数年おきに発生していて、そのたびに周辺の地震活動が活発になっています。
これまでにスロースリップが確認されているのは1996年5月と2002年10月、2007年8月、2011年10月、2014年1月、2018年6月の6回でそれぞれが2年から6年余りの間隔で起きています。
今回の間隔は5年8か月となります。
過去のスロースリップはおおむね10日前後、観測されています。
このうち、2018年の活動では、地震調査委員会で「スロースリップ」が起きていることが報告され、揺れへの注意が呼びかけられた翌日に震度3を観測する地震がありました。
そして、スロースリップが始まってから1か月ほどあとにあたる7月にマグニチュード6.0の地震があり千葉県で震度5弱の揺れを観測しました。