千葉県 新年度予算案 防災対策に重点 “防災県”目指す

千葉県は14日開会した県議会に総額2兆1000億円余りとなる新年度、令和6年度の当初予算案を提出しました。
去年9月の記録的な大雨などを受け、防災対策を重点的に進めるとしています。

千葉県の新年度の当初予算案は一般会計の総額でおよそ2兆1077億円で、14日開会した県議会の本会議に提出されました。
予算案では「防災県」の確立を重点に掲げ、去年9月の記録的な大雨で浸水や土砂災害の被害が相次いだことなどを受けて、防災対策の事業に今年度より100億円ほど多い450億円余りが計上されています。
具体的には土砂災害警戒区域の指定を進めるために現地調査を行う費用を今年度の4倍ほどに増額し、12億円余り計上しています。
また、田んぼに一時的に雨水をためて洪水を防ぐ「田んぼダム」の拡大を後押しする費用や、防災情報を発信するホームページを充実させるための経費などを新たに盛り込んでいます。
熊谷知事はさきの記者会見で「ハード・ソフト両面で災害対策を進めていく。地域や市町村と協力して取り組みが進むようにしたい」と述べました。

千葉県内では去年9月の記録的な大雨で257件の土砂災害が相次ぎ、去年1年間の発生件数は全国で最も多い275件にのぼりました。
県によりますと、このうち85件は地図情報の地形などから土砂災害のリスクがあると予測されていたものの、現地調査が未実施だったため、「土砂災害警戒区域」に指定されていない地点だったということです。
千葉県長南町の市野々地区では、去年9月の大雨の際、警戒区域に指定されていない8か所で土砂災害が発生し、道路が寸断されたり、土砂が川に流れ込んで川の水があふれたりする被害があったということです。
住民の1人は「去年の大雨の際には、土砂災害のリスクがあるとは知らなかったし、これまでにない被害で驚いた。事前に警戒区域に指定してもらいたい」と話していました。
こうした地点は県内全体で9000か所ほど残っていて、県は2年後までに警戒区域への指定を終えるとして現地調査を急いでいます。
また、県は警戒区域に指定される前から災害リスクを認識してもらうため、調査を予定している場所をホームページで公開しています。
千葉県防災危機管理部の添谷進部長は「地域の防災力を高めるには自助と共助が重要なので、まずは県民にリスクや日頃の備えの必要性を知ってもらい、適切な避難行動につなげていきたい」と話しています。