大相撲 大関昇進確実の関脇・琴ノ若 「かっこいい存在に」

大相撲初場所で優勝争いに加わって13勝2敗の好成績を残し、大関昇進が確実となった関脇・琴ノ若が会見を行い「大関は小さいころからかっこいいと思っていた地位なので、そういう存在になりたい」と決意を述べました。

琴ノ若は初場所、千秋楽の優勝決定戦で横綱・照ノ富士に敗れて初優勝は逃したものの13勝2敗の好成績を残し、三役で臨んだ直近3場所の勝ち星の合計が、大関昇進の目安とされる「33」に届きました。
日本相撲協会は31日、大関昇進に向けた臨時理事会を開催することを決め、琴ノ若の昇進が確実となっています。
千秋楽から一夜明けた29日、琴ノ若は千葉県松戸市の佐渡ヶ嶽部屋で記者会見を行い、「優勝決定戦で負けた最後の一番が悔しい気持ちのほうが強いが、大関は小さいころからかっこいいと思っていた地位なので、そういう存在になりたい」と率直な思いを述べました。
初場所での15日間については「場所前から大関昇進の可能性もあると多少なりとも言われていたが、勝ち星や内容をつないでいけばお声がけいただけるとは思っていた。ただ、決めるのは自分ではなく結果で、意識することなくその日の一番にしっかり集中してできた」と振り返りました。
その上で「大関で終わりたくないので、もう1つ上を目指してやっていく。しっかりと責任感や緊張感を持ちながら、部屋の力士を引っ張り上げて全員で上を目指す空気や環境を作っていく」と意気込みを示しました。

琴ノ若の大関昇進が確実になったことを受けて、地元の千葉県松戸市では喜びの声が聞かれました。
80代の女性は「きのうは優勝するかと思って見ていましたが、残念でした。私からすれば孫のような年代なので、そういう気持ちで見ていました。松戸で3代続く相撲一家なので、これからも頑張ってもらいたいです」と話していました。
60代の女性は「今朝のニュースで知りました。松戸出身とは知りませんでしたが、松戸からそういう人が出たというのはうれしいですし元気づけられます」と話していました。
70代の男性は「いつも楽しみに見ています。きのうは見ていて横綱との力の違いを感じましたが、これからは横綱になること、それだけを期待しています」と話していました。
20代の男性は「テレビで佐渡ヶ嶽部屋の力士を見ると頑張っているなとうれしくなります。以前、琴奨菊が昇進したときにも盛り上がりました。けがには気をつけてもらって、優勝して松戸で凱旋パレードをしてもらえたら見に行きます」と話していました。

琴ノ若が所属する佐渡ヶ嶽部屋にほど近い松戸市の料亭では、幼いころから琴ノ若を知る社長が、大関昇進が確実となったことを喜び、初優勝に向けてエールを送りました。
松戸市田中新田にある料亭、「割烹しの田」の社長の稲川智子さんは、両親が琴ノ若の祖父である先代の親方と親しく、父である現在の佐渡ヶ嶽親方とも交流があるということです。
以前は家族ぐるみで一緒に旅行に行くこともあったということで、琴ノ若の子どもの頃の写真を見ながら、「やはり普通の赤ちゃんよりは体が大きかったです。その頃から落ち着いていて、泣いたり騒いだりというようなことがありませんでした」と振り返っていました。
また、新入幕の際には化粧まわしを贈ったということで「今場所は初日に締めてくださいました。父が先代の親方との間で、琴ノ若関が幕内に入るときに化粧まわしを贈る約束をしていました」と話していました。
大関昇進が確実となったことについて、稲川さんは「日頃の努力をすごくされている方なので、それが実ったということで、まだ通過点だとは思いますが涙が出るほどうれしいです。けがなく、順調に勝ち進んで、次は優勝して地元の松戸でパレードをしてもらいたいです」と話していました。

琴ノ若が小学生の時に通った千葉県柏市の相撲教室では、29日も地域の子どもたちが放課後に集まってトレーニングをしていました。
大関昇進が確実になった先輩・琴ノ若について、部長で中学3年生の豊田倫之亮さんは「あこがれの存在です。自分も後輩の手本になるような存在になりたい」と話していました。
また中学3年生の冨山大翔さんは「自分たちの先輩が大関になったというのはすごいことです。ここで頑張って強くなったと思うので自分もそうなりたい」と話していました。
教室の指導者の永井明慶さんは「土俵の下では優しくておっとりとした人柄でした。今も変わらず優しく、その分これまでは星の取りこぼしがあったと思いますが、ここまで来たのは心の成長があったのではないでしょうか」と振り返り、「頑張れば夢をつかめることを証明してくれました。子どもたちにとっても大きな手本になったと思います。横綱が彼の一番の目標だと思うので、実現してもらい、子どもたちの励み、希望になってほしい」と話していました。