千葉県 野生動物対策 狩猟経験少ないハンター対象の研修実施

イノシシやキョンなど野生動物による農業などへの被害が相次ぐなか、狩猟の経験が少ないハンターを対象とした研修が千葉県君津市で行われ、熟練のハンターから実際に設置されたわなで動物を捕獲する手順などが伝えられました。

この研修は、野生動物を捕獲するハンターの人材不足を解消しようと、狩猟免許を取得しているものの、狩猟の経験が少ないいわゆる「ペーパーハンター」を対象に、去年11月から県が開いています。
これまでは座学や見学などが中心でしたが、24日は4人の参加者が熟練のハンターとともに山に入り、動物を捕獲する現場で実習を行いました。
参加者たちは山の中に実際に設置されているわなを一つ一つ見回り、今回はわなにかかっている動物はいませんでしたが、わなを設置するコツや動物を捕獲する手順などを学びました。
わなの中だけでなく、外にもエサを置くとわなにかかりやすくなるという説明に対し、参加者はエサを取り替えるタイミングなどについて質問していました。
このあと、22日、わなにかかっていた動物を使って、動物を処理する手順の説明も行われ、参加者たちは写真を撮るなどしながら熱心に聞いていました。
館山市から参加した20代の男性は「狩猟免許を取ったものの実際に始めるには難しさがありましたが、わなの掛け方や、捕まりやすくするコツを知ることができて勉強になりました」と話していました。
千葉県自然保護課の市原岳人副課長は「野生動物による被害は深刻な状況で、捕獲に取り組むうえでは担い手の確保が課題になっている。研修を通して実践的な捕獲技術を身につけ、担い手になってもらいたい」と話していました。

千葉県内ではイノシシやサル、それに、中国などに生息するシカ科の特定外来生物「キョン」など、野生動物によるさまざまな被害が問題になっています。
イノシシに稲が踏み荒らされたり、サルに野菜が食い荒らされたりする被害が相次ぎ、県によりますと、県内での野生動物による農作物への被害は、昨年度1年間で額にしておよそ2億7000万円に上るということです。
また、キョンはイモなどの農作物の被害とともに、「ギャー」という特徴的な大きな鳴き声によって、住民の生活環境への影響が広がっています。
キョンは本来、日本には生息していませんが、1980年代以前に勝浦市にあった観光施設から逃げ出したものが房総半島で大量に繁殖したとみられています。
生息数はこの10年間で2倍以上に急増し、昨年度の県の推計ではおよそ7万1500頭に上っています。
県によりますと、これまでに生息が確認されているのは、房総半島を中心とした17の市と町に上るということです。
このほか目撃情報は県北部の成田市や柏市で寄せられ、さらに近年は茨城県内でもたびたび目撃されていて、生態系への影響も懸念される中、生息域の拡大を食い止める対策が課題となっています。