“教諭からわいせつ行為”賠償訴訟 2審 児童側の控訴退ける

千葉県内の女子児童が教諭から繰り返しわいせつな行為を受け、学校に通えなくなったなどとして賠償を求めていた裁判の2審で、東京高等裁判所は児童側の控訴を退け、1審と同じく千葉県などに対しておよそ120万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

この裁判は、6年前、当時千葉県内の公立小学校に通う5年生だった女子児童が30代の男性教諭からトイレの中で胸を触られるなどのわいせつな行為を受けて学校に通えなくなり、さらにPTSD=心的外傷後ストレス障害を発症したとして、児童と両親が慰謝料などあわせておよそ4900万円を支払うよう求めているものです。
1審の千葉地方裁判所は「胸を触るなどの行為があったとは認められないが、児童の体にむやみに触れる行為があった」などとして、県と小学校を設置している自治体に対しておよそ120万円を支払うよう命じましたが、児童側はわいせつ行為やPTSDの発症との因果関係が認められなかったとして控訴していました。
13日の2審の判決で、東京高等裁判所の手嶋あさみ裁判長は「児童の体の一部を触った事実は認められるが、意図的に胸を触ったとまでは認められない」と指摘したうえで、PTSDについても「診断基準を満たさず、発症したとは認められない」としました。
また、「児童は教諭に対する嫌悪感や恐怖心が生じたが、慰謝料の額としては1審判決と同額が相当だ」として児童側の訴えを退け、1審と同じく、千葉県などに対しておよそ120万円の賠償を命じました。

判決のあと都内で開かれた記者会見で、児童の父親は「控訴が認められないという判断が出て、残念で悔しい。性暴力は『心の殺人』だというが、裁判所は娘の心が殺されてしまったことを認めなかった。さらに事件が起きたあとの教育委員会などの対応も問題なかったと認めたことに強い怒りを覚える」と話していました。
一方、千葉県教育委員会は「高裁の判決は妥当なものだと考えているが、1審で、教員による一部不適切な行為により児童に精神的な苦痛を与えたとされたことについては重く受け止めている」としています。