南房総市長 市立富山国保病院の病床移管方針 白紙撤回へ

千葉県南房総市の石井裕市長は、市立富山国保病院を診療所に変更して今あるすべての病床を隣の館山市にある病院に移管するという方針を、白紙撤回することを明らかにしました。

南房総市は、市立富山国保病院について、高齢化による患者数の減少などで将来的に運営が赤字になるため、今の51の病床すべてを2027年度末までに隣の館山市にある安房地域医療センターに移管した上で、病床のない診療所とする方針をことし4月に市議会で示していました。
これに対し、地元住民らが1万3000筆以上の署名を市に提出するなど病院としての存続を求める声が強まっていました。
市によりますと、先月開かれた住民説明会の中で石井裕市長は、移管方針の決定を当面延期する考えをいったん示していましたが、今月2日に開かれた2回目の説明会では、方針自体を白紙撤回する考えを示し、考えが変わったことを謝罪したということです。
病床の移管と診療所への変更の方針を撤回した理由について石井市長は、「病院の方向性が決まらないことが長く続くと、病院の職員が不安な状況で勤務を続けることとなり、職員や病院、患者に与える影響が大きいため」と説明しています。
南房総市では、「課題がある状況には変わらず、病院の今後のあり方を引き続き検討していきたい」としています。